すずらんってどんな香り?調香師が教える 人気香水5選

フランスでは「すずらんの日」に愛する人やお世話になっている人に

すずらんを贈る習慣があり、もらった人には幸運が訪れるといわれます。

そんなすずらんは贈り物だけでなく、香水にもよく用いられる好感度の高いフローラル。

今回はすずらんの花や香りの基礎知識、調香師が教える人気のすずらん香水を5つまとめてお届けします。

目次

幸福の象徴「すずらん」

 5月1日はすずらんの日

名前の通り鈴のようなかたちの白いお花が可愛らしいすずらん(鈴蘭)は、毎年5月から初夏の間に見頃を迎えます。
日本では生花店だけでなく、ちょっとした脇道などに自生しており、たまに見かけることもある身近なお花ですよね。

すずらんをフランス語では「muguet」(ミュゲ)といい、毎年5月1日には「ミュゲの日」として、家族や友達、パートナーにスズランを贈る習慣があります。

ミュゲの日の起源は、1591年5月1日に、シャルル9世のもとにこの花が贈られたこと。

「幸せの象徴」であるすずらんのプレゼントを大層喜んだシャルル9世は、毎年5月1日になると宮廷ですずらんを贈るようになり、このことから後にミュゲの日となりました。

以降すずらんは、「幸せが訪れる花」として、贈り物やブライダルブーケに使われるようになりました。すずらんは「聖母マリアの涙」と例えられることもありブライダルにもぴったりなイメージですよね!

すずらんの花言葉は? 

花言葉は

純潔 純粋 幸福の再来 意識しない美しさ

まさに白く可憐な印象のすずらんにぴったりです!

”すずらん”の香りの特徴

すずらんの香りは、清楚で好感度が高く普段香あまり水を使わない人でも

取り入れやすい爽やかでクリーンな印象です。

1.清潔感&フレッシュ

すずらんの香りを嗅ぐと、そよ風の中を歩いているかのようなフレッシュな感覚が感じられます。また、きちんとアイロンのかけられた白いハンカチのような清潔感を感じる香りが特徴的です。

2.清楚なフローラルノート

花々の中でも、すずらんはその上品で清楚なフローラルの香りで知られています。派手すぎず控えめでありながら印象に残るフローラルです。

3.どんなシーンでも使いやすい

すずらんの香りは、どんな場面やシチュエーションにもマッチする普遍的で綺麗なイメージの香りです。そのため、日常使いから特別な日にまで使いやすい汎用性があります。

すずらんには毒がある?

すずらんは口に入れると危険

実はこんな可憐なすずらんですが、草や根、花に強い毒性を持っており、青酸カリの何倍も高い指数が発表されています。これまでにスズランを活けた花瓶の水を誤って飲んでしまったことで中毒を起こし、死亡した例もあるほど。


口に入れると中毒を起こしてしまうので、小さな子どもやペットがいるご家庭では注意しましょう。もし触っても、手を洗えば問題はありません。

すずらんの香りは合成香料で再現されている

このように有毒性があること花が小さくほぼ精油をとることが難しいことから、香水業界ではすずらんの天然香料はめったに使うことはなく、「Hydoroxy Citronellal(ヒドロキシシトロネラール)」などの合成香料を用いてすずらんの香りを再現することがほとんどです。

すずらんの香りは、こんな人には向かない

人によっては、すずらんの香りをキーンとした感じ、キンチョールのような殺虫剤のようなにおい、青くさいと感じる方もいるようなので、甘めの香りが好きな方には向かないかもしれません。

逆に、

・濃厚すぎる香水が苦手な方

・香水をつけたいけど、派手にはしたくない

・石けんのような清潔感を感じさせたい

という方にはおすすめな香りといえるでしょう。

すずらん 人気香水5選

それでは、幸せが訪れる花・すずらんの香水をお探しの皆様に、

調香師Chiyoがおすすめの人気香水5選をご紹介していきます。

すずらんの人気香水⑴サンタマリアノヴェッラ スズラン オーデコロン 

サンタマリアノヴェッラ スズラン

シンプルなザ・ミュゲ(すずらん)!という潔い香り。

TOP – すずらん

すずらんは神話の神メルクリウスが好んだ花で、うっとりするその香りは、記憶を刺激し頭をはっきりとさせる力を持つといわれるそう。

キリスト教の言い伝えによれば、スズランは十字架の足元に流した聖母マリアの涙から誕生したといわれています。その清らかな花の色から、純真無垢の象徴とされています。

マリア像が頭にかけるヴェールにこんな香りがしていたら素敵だろうな…と想起させる、シンプルで無垢な香りをお求めの方におすすめ。

すずらんの人気香水⑵ペンハリガン・リリー オブ ザ バレー オードトワレ

リリーオブザバレー

繊細なスズランの魅力を表現した、ペンハリガンの永遠のクラシックと言える香り。

TOP – レモン、ベルガモット、ゼラニウム、オレンジオイル、プチグレン
MIDDLE – ローズ、イランイラン、ジャスミン、リリーオブザバレー、セロリシード、カルダモン
LAST – オークモス、サンダルウッド

「永遠の愛」をテーマに作られたスズランのシングルフローラル。

ソフトなタッチで広がるシトラスとベルガモットの爽やかな香りに、リリー オブ ザ バレー(ドイツのすずらん)、ローズ、イランイラン、ジャスミンといったクリーミーなホワイトフラワーがとけあい、無垢な美しさにあふれた優雅なハーモニーを奏でます。

凛としたすずらんの魅力が味わえる、折り目正しい雰囲気の鈴蘭香水。

面接、入学式、卒業式などきちんとした場面にも合いそうです。

すずらんの人気香水⑶アブラクサス・オブリビオン オーデトワレ/新月の香り

オブリビオン オーデトワレ/新月の香り

すずらんやシクラメンの白くクリアな世界に浸れる香り

TOP – アルデヒド、ユーカリ、ローズマリー、ティムールベリー
MIDDLE – ミュゲ、シクラメン、ジュニパーベリー、パイン
LAST – フランキンセンス、ホワイトムスク、ベチバー

新月の夜をイメージした、すべてをリセットし心をクリアにしてくれるような、
まだ誰も足を踏み入れていない真っ白な雪のようなひんやりとした香り。

すずらんやシクラメンといった白い花を基調に、その下に眠るベチバーやパインなどのグリーンや樹々の香りも内包しています。

気持ちをリセットし無になりたいとき自分のために纏ったり、空間にスプレーして浄化するような感覚で使うのもおすすめです。

すずらんの人気香水⑷フローリス・リリー オブ ザ バレー

気品を感じさせる 華やかなリリーオブザバレー
TOP – ライム、レモン、グリーン
MIDDLE – リリーオブザバレー、ローズ、ジャスミン、チュベローズ
LAST – サンダルウッド、ムスク、アンバー
フローリスは「英国王室御用達」のフレグランスブランド。
品格を感じさせるクラシックなボトルデザインと香りに世界中にファンも多く、ナイチンゲールやマリリンモンローも愛用していたという逸話も残っています。レモンやライムの清涼感溢れるシトラスから、リリーオブザバレー(すずらん)をメインにローズ、ジャスミン、チュベローズという華やかなフローラルが詰め込まれた贅沢な香り。
オードトワレということもあり、意外にも軽やかにつけられるので春〜夏にもおすすめなフレグランスです。

すずらんの人気香水⑸クリスチャン ディオール・ディオリッシモ

ディオール・ディオリッシモ

TOP – スズラン、ベルガモット
MIDDLE – イランイラン、アマリリス
LAST – サンダル、ジャスミン

最後にご紹介するのは、すずらん香水の代表格Diorの「ディオリッシモ」。
私も調香の学校で、一番はじめにすずらん香水といえばコレ、と教わった歴史あるフレグランスです。

ディオリッシモは、Dior(ディオール)のissimo(フランス語で最上級)という意味の造語で、「Diorのミューズたりえる女性」をテーマに製作されました。

ダイアナ妃、吉永小百合、他多くの著名人が愛用した名香です。

私の好きな小池真理子の小説にも登場しており、「お!」と思った記憶があります。

「草原に咲くスズラン」をイメージして調香したディオリッシモは、南仏の草原の中に迷い込んだかのような清々しい青みのある香りから始まります。

そこから徐々にジャスミンやイランイランの豊かな華やかさに移り変わり、芳醇で女らしいフローラルノートへの遷移する、クラシカルかつドラマティックな香りといえるでしょう。

 

監修: フレグランス ブランド Ablxs ブランド ディレクター/調香師 Chiyo

20歳の頃に香水雑誌の編集・執筆に関わったことから、フレグランスの世界に興味を持つ。化粧品会社、外資系フレグランス商社など勤務ののち、調香の専門教育を受け独立。2012年より、フレグランス ブランド Ablxs(アブラクサス)を立ち上げる。

専門知識に裏打ちされた豊富で正確な情報と、目に見えない香りを魅力的に言語化する詩的な感性で、フレグランスの基礎知識を伝授している。

Instagram @ablxs_chiyo

 

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