Ablxs調香初級クラスのyuikaさんにお借りした「調香師レオナール・ヴェイユの香彩ノート」という小説を拝読。
実はここのところノロウィルスにやられて寝込んでいたのですが、おかげで時間ができたので少し回復してきてからは、せっかくなのでゆっくりと読書を楽しんでおりました*
この小説、おそらく括りはライトノベルだと思うのですが、
なんだライトノベルか…と、侮ってはいけません…!
とても繊細な感性、そして「香りと記憶」の大切な、
切っても切れない繋がりについて丁寧に描かれている美しい物語だと感じました。
レオ(作中の調香師)にとって香りは、
創り上げればそれで終わり、というものではない。
同時に、香りを手にした人も、使い切って終わりというものでもない。
香りは確かにいつか消えてなくなるものだけど、
五感を揺らした香りは記憶に刻まれる。
その記憶は、時に想いに寄り添い、慰め、惑う背中を抱きしめてくれる。
とくに作中のこのシーン、そうそう、こんなことをいつも想ってる…!
というのを代弁してくださったようでとても嬉しかったです。
また、この作品の前半では死期が近づく母が娘に、
画家になるための勉強をしていた父との想い出を香りにしてくれる
「依頼者だけのための香りを生み出すプライベート調香師」へ
代わりに制作の依頼をしてほしい、という内容なのですが、
薔薇の妖精になり、風の使いになり、
二人の足元に咲くアイリスの精になり。
絵の中の二人の気配を探し、囁くような愛の言葉に耳を澄ます。
何かが見えることも、聞こえてくることもない。
父の絵は、母のために描かれたもので瑞希(娘)の想い出はそこにないから。
(中略)
寂しさは埋めるものじゃない。
痛みも消し去るものじゃない。
すべては生きている証。
なかったことにせず、ありのままを受け止める。
その部屋で、父の絵と母の香りが、瑞希に教えてくれる。
生きることは、愛することだと。
誰かを、自分を、夢を、過去と未来を、そして死を。
とあります。
この物語を読むと、絵画も香りも、製作者や依頼者よりも
ある意味長生きしていく、物体としては残っていく可能性もある。
そしてそれらは想い出を何かしらのカタチとして残す、
ある種の遺品のような存在でもあると。
関わる人の生死に関わらず、
大切にしたい記憶…
忘れたいけれど、忘れられない記憶…
ありのままに受け入れるには難儀な出来事…
そんな複雑で個人的な記憶を大切に封印しておく、
そしてたまに取り出しては大事に慈しむような存在、
「標本」のような存在としての香り、
そんなものを私はつくっていきたいなと、
改めて感じました。
香りは自己表現のひとつでもあるし、楽しむものとしても是非ひろまってほしい。
だけれど、よりパーソナルで個人に向けた香りというものあっても良いのではないか、
そう思いました。
2018年の私のテーマは「居場所をつくる」です。
私自身の新たな居場所もつくりたいし、
香りやメイクを通して、「あ、ここって私の居場所だ!」と思えるような
空間や時間を提供していきたい。
あなたは、ここに居ていいんだよ、その想い出を大切にしていいんだよ、
あなたの魅力を生かす方法はコレだよ…と気付くためのツールとして
香りやメイクを使っていきたいと決意しました。
だから、おそらく短発のレッスンなどは少なくなって、
より深くお相手とコミットできるような数回に渡る
ワークやスクールの活動を重視していくと思います。
(そのほうが深く関わることができますからね^^)
「癒やし」っていう言葉って安易であまり使いたくはないのだけれど、
アナタが何か自分を解放してもらえるような
場所・時間をより大切にしてもらえますように…
色々と活動内容を考えていきたいと思いますので、
ご興味ある方は今後もお付き合い、どうぞよろしくお願いします^^