今日の調香勉強会では、フレグランス界の中でもユニークな存在である
グリーンのノートをテーマに研究していきました^^
『Vent Vert(ヴァン・ヴェール)』ピエール・バルマン
1947年発売〈調香師〉ジュルメーヌ・セリエ
TOP ガルバナム、バジル、レモン、ベルガモット
MIDDLE ヒヤシンス、ジャスミン、ミュゲ、ローズ
LAST オークモス、ヴェチバー、セージ、サンダルウッド、ムスク
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「緑の風」という名の香水。
グリーンノートを代表する、名香のひとつです。
この香りは、インパクトの強いグリーン系の天然香料・ガルバナムがキーノート。
ガルバナムの印象は、渋みのある草をすり潰したらこんなにおいする?
というような落ち着いた雰囲気の濃い緑を感じる香りです。
ごくごく少量を使用するのがこれまでの鉄則だったガルバナムを、
全体の8%も使ったといわれ、当時としては改革的な大胆な処方といわれています。
同年、1947年にはディオールからも『ミス ディオール』という、
こちらもグリーンノートの効いたグリーンシプレの名香が誕生しています。
1947年当時のフランスでは、第2次世界大戦の復興に向けて人々が奮起し、
女性の新しい在り方が模索される時代でもありました。
歴史を遡っていくと、潔く清々しいグリーン系の香りが注目される時代には、
自由を求める風潮や、自然への希求が強くなる傾向があるかもしれません。
そして時代は巡り1970年代にも、ベトナム戦争が要因となり、
自然回帰への気持ちが強まっていった時代。
ガルバナムやアイリスがキーとなったシャネル『N.19』や、
エスティローダー『アリアージュ』などの
グリーンノートが鍵となった香水が、この時代にも登場しています。
そしてまさに現在、
2010年代もオーガニック、ナチュラル志向の浸透と共に、
天然のグリーンノートへの再注目もされており、
2018年初夏に発売のGUCCI『Acqua di Fiori』も
グリーンガルバナムと繊細なカシスのつぼみの香りがメインの香水も登場しています。
咲き始めの花びらのさわやかさと軽やかなみずみずしさを表現した、
溌剌とした女性らしいエネルギーを称える香り…
これからの時代を生きる女性たちが、
ますます自由に、自分らしく生きていく予感が
グリーンノートがキーのフレグランスへの注目からも予期される気がします♪