“サムサラ“とは、サンスクリット語で「永遠の再生」=「輪廻」を意味する言葉。
ひとつの生から新しい生へと移り変わる人間の存在を表現した、静謐さと調和にあふれた香りです。
昨日は7年前から続けている「“Perfume Artist Class”入門講座」だったのですが、クラス内でご紹介したオリエンタルの名香ゲランの“サムサラ“について、面白いエピソードがあるのでこちらでもご紹介したいと思います。
調香師のジャン・ポール・ゲランが、当時の恋人のために作ったとされる“サムサラ“。お相手の女性はそれまで一度も香水をまとったことはなかったとか。
ゲランに「何の香りが好き?」と聞かれ、彼女は「ジャスミンとサンダルウッドかしら」と何の気なしに答えたところ、ゲランは当時宗教儀式のみに用いられてきた貴重なサンダルウッドとジャスミンを手に入れるため、何度もインドに足を運んだそうです。(恋人への熱い情熱を感じますね!)
そして生まれたのが、この極上の素材の融合性を極めた、官能と誘惑のフレグランス。狂おしいまでに魅惑的であると同時に、神聖な真の愛の香りでもある…
「輪廻」という名前をつけただけあって、きっとゲランは来世でもこの女性を愛し続ける、という誓いをこの香りに込めたのではないか?と想像してしまいます。
現在はボトルデザインが変わってしまったのですが、私は写真の昔からのデザインの方が好きです。(10年以上前に購入した私物です)
聖なる真紅のボトルは、インドの踊り子を思わせる曲線のフォルム。またキャップは瞑想のシンボルである仏像の目をかたどったと言われ、深く心に語りかけてきます。
個人的な愛の詩のようなこの香りが、長年世界中で愛される名香りになる…フレグランスにはそんな奇跡のような物語が起き得てしまう。そんな部分もまた魅力を増幅してくれる一因なのかもしれません。
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最近、ご自身のビジネスを始められる方も増えていますが、私は「何」を買うかではなく、この香りのストーリーのように「どんな想いで、どんな人に届けたくて」つくっている製品なのかに惹かれることが多いです。
あなたのビジネスにもストーリーはありますか?
Chiyo/月詠み調香師
https://www.instagram.com/ablxs_official/
1985年東京生まれ。フレグランス・化粧品に特化した美容ライター業、百貨店オーガニック化粧品ブランドのセールスマネジャーを経て調香師になるという、女性の美・悩みにまつわる様々な経験を持ち、クライアントに最適な製品を提案するカウンセリング力も強み。
2012年にブランド創業。2020年に(株)アブラクサス創立。香りの文化を広めるべく、一般の方へ向けた調香の基礎を学べるクラスも展開中。20歳のころより学びを深めてきた占星術・タロット研究の知識を取り入れ、今の心の状態に寄り添う香りやセッションを提供している。